中二階のある家 ある画家の話 公演情報 三輪舎「中二階のある家 ある画家の話」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    鑑賞日2022/01/30 (日) 17:00

     『中二階のある家 ある画家の話』という劇を観ましたが、時代遅れの閉鎖的な所在が定かでないコミューン(村)があり、村全体が家族であるという信念のもとにその村で生まれた子供は血の繋がらない男女のもとに割り振られ、成人した男女は、村から決められた人と結婚し、これは5年おきに更新されるシステムとなっている村のある一家族に焦点が当てられた、なんとも不条理なことがまかり通っている世界が舞台の劇にに圧倒された。
     実の息子と娘、実の母と父でない兄妹と、その両親が登場人物で、一見喧嘩やイザコザもなく、トラブルもなく、怒られることもない幸せな家族だが、義理の兄がこの村の外に行っていて、何年かぶりに家に帰ってみて、その家族間における幸福性の違和感やこの村の理想的な平和で豊かで楽しそうな雰囲気に対する違和感を覚え、義理の妹を説得して、この村を家を出ていこうとする。しかし、義理の妹は外の世界に対して憧れはあるが、この村やこの家の現状に不満はないし、出ていく正当な理由がないと、義理の兄の説得を突っぱねる。それに、それはお前の考えをただ妹に押し付けているだけじゃないのかという父の台詞や、過去の苦い現実から逃れて、自己意思でこの村にやってきた1世で、この村は平和で、争いや喧騒がなく、治安もよく、犯罪もないこの村を理想的だと思い住んでいる母などから、価値観の違いがあることからむやみに人に自分の正義感を押し付けてしまうことが良くないことであること、だからといってみんな騙されているんだ、偽りの平和を維持するために知らず知らずのうちに無気力にされ、反発する意思やおかしいと思うこと、意見することがくだらなく思え、何も考えずに日々の生活が楽しければ良い、自分たちが脅かされなければ良いという事なかれ主義で、生ぬるく、生きてる実感も沸かず、娯楽もなければ、刺激もないそんな生活で、果たしてそれが本当に幸福かと問い続け迫る兄の考えも正しく、心揺さぶられ、ときに緊迫し、ときに笑い、今のはっきりとした形象はないが、流行に流され、あまり深く考えず、社会がどう変わろうと自分たちが幸せであれば良いという管理されていても気付かない現代の人々とこの架空の場所を舞台にした劇とあまりにも似通った共通点をいくつも見つけることができ、震撼し、深く考えさせられた。
     ただ、劇のラストは、少し不満に感じた。主人公の兄が、義理の妹を刺殺し、その血を吸いながら、片手で自分の首筋を掻っ切って息絶えるとか同じ悲劇的な展開でも、もっと、これは演劇なのであるから、劇的なラストになっていて欲しかった。

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    2022/01/31 21:10

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