リトルプリンス 公演情報 東宝「リトルプリンス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    様々な思索に誘う、象徴に満ちた物語と、音楽、ダンス、宙吊りもある大胆でビジュアルな舞台づくり。また見たいと思わせられる至福のひとときでした。冒頭は、霧の中、任務に飛び立つ飛行士(井上芳雄)。砂漠に墜落する経過をコンパクトに見せて、気絶していると王子(加藤梨里香)が「ひつじを描いて」とせがんでくる。異世界に自然に誘う出だしでした。その後は、バオバブの木に星が覆い尽くされるシーンをダンスと映像で見せたり、わがままな花(バラ=花總まり)との悩みの日々、6っつの星々でであった人など、原作でおなじみの話を店舗よく見せてくれる。あっという間の第一幕でした。

    花とのシーンは、王子に変わって飛行士が、花と対話することで、作者サンテグジュペリと妻の関係を示唆する。ときおり聞こえる「お兄ちゃん!」の声に、弟フランソワの死が暗示される。物語外の作者の人生を、決して説明はしないが、分かる人には分かる形でほのめかすのも、いやみにならず、巧みである。

    第二幕は王子が地球に来てから。冒頭の蛇(大野幸人)の登場から「死」というテーマが暗示される。蛇は、第一幕も少し出たが、官能と不気味さをみせる、不定形的なダンス、身のこなしは素晴らしかった。
    そして、狐(井上芳雄=二役)との場面。井上の愛嬌とはにかみのある演技が良かった。舞台の上下の端っこ同士からだんだん距離を詰める下りなど、「飼いならす(この言葉が適当かは、翻訳の問題がある)=友だちになる」、特別の存在に互いがなる過程はわかりやすかった。そして王子が星へ帰っていく日。「星が美しいのは、花を隠しているからだよ」「これで君は星を見るたびに僕の笑い声が聞こえるよ」という名台詞が、生の舞台で体感できるのはミュージカルならではだった」

    加藤梨里香が愛らしく明るく、彼女の歌、とくに高音の伸びが素晴らしい。白い壁にたくさんの丸い黒い穴が空いた美術は、何かと思ったが、穴は星をイメージしているのだと、2幕に来てわかった。

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    2022/01/29 23:16

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