S.ストーリーズ 公演情報 劇団かもめんたる「S.ストーリーズ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    演劇と演芸と、どこで線を引くのか。ステージで演じる、という事では同じなのに、両者の間のジャンルの溝は意外に深い。かもめんたるの岩崎う大は、岸田戯曲賞の候補にもなっている。超えられるか。
    小劇場の一方の雄・佐藤信が芸術監督の座・高円寺の公演である。
    裸舞台に雪が降る。冬の夜の若い夫婦の家にマラソンランナーとそのコーチが入ってくる。どうやら時空を飛んでコースを間違えたらしい、「しゃがいも」という不思議な声がどこからか聞こえる。と言うのがシュールな序幕から、六つの短編が演じられる。演芸を志す若者の生活に近いエピソードもあれば、カフカ風の挿話もある。コンテンポラリーダンスをからかったようなものもあれば、流行のユーチューバーを志す若者をやや時代から取り残されそうになった芸人がとっちめる話もある。いずれも、形で見せる外面的な演芸の要素と、内面的な演劇の要素が織り込まれている。1時間50分、見ている分には面白いが、この舞台が、どういう方向に進んでいくのかは掴みかねた。岩崎自身もまだ模索しているようだ。幾つもの答えがあって、その中にはステージをより豊かにする発見もあるだろうが、見ていて感じたのは演芸と演劇の物理的なステージ設定の違いだ。基本ノーセットで演じる演芸と多くの人々がかかわって作っていく演劇の違いである。そこは多面的な要素がかかわっていて、単に戯曲、あるいは演者だけではなかなか乗り越えられないのではないか。この感想は横に長いこの劇場だから感じられたものかもしれないが。

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    2022/01/22 15:20

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