実演鑑賞
満足度★★★★
小難しいことを考えず、舞台上の苦労、悲しみ、かけひき、喜びを素直に味わえる作品である。初の女座長役の熊谷真実に明るい華と芯の強さがあって、適役だった。前半の、自分の別れた子の話をする「北極と南極をつないだような長ーい話」は、客席の目と耳を釘付けだった。
女将の真飛聖は、初めて見たが、後半のストリップを押し付けるくだりの愛嬌ある迫力は見事だった。新派くずれの二枚目・藤井隆と、元国鉄労働者の女形・小椋毅の悪口合戦、なじりあいも、役柄ぴったりの演技と息のあった掛け合いで、大いに笑えた。
作者自らが「昭和庶民伝三部作」としているが、戦争をテーマにしたほかの二作とこれは明らかに異質である。ぼくは、無理に三部作にしなくていいのではないかと前から思っている。2時間35分