実演鑑賞
満足度★★★★★
#カラオケの夜
#佐藤みゆき さん
#森崎健康 さん
夫婦だから全てを曝け出せるのか、夫婦だからこそ気を遣って言えないのか……答えの出ない永遠の難問。良い関係を築いたり保ったりするために努力すること。それは無理をすることになるのか。確かに夫婦には何らかの覚悟のようなものは必要だと思う。「夫婦なんて所詮は他人」とはよく耳にする。でもそれは、分かり合えないことを何かのせいにして蔑ろにしたり諦めたりしている言い訳と言えなくもない。我が妻も、何度か伝えても変わらない……変えようとしないことは幾つもあって……もう仕方ない…と諦めている部分は確かにある。きっとその逆でワタシにも妻にとって許し難いことがあるだろう。性格、育った環境、染み付いたモノは簡単には変えられない。もし同棲をしていたなら、果たして結婚に至っただろうか。その時間に、曝け出すか気を遣うか、許せるのか冷めるのか……。かつて、そんなことを考えたのを思い出す。
子は鎹。この二人の7年の時間にコウノトリが天使を運んできたなら違う時間が訪れただろう。我が家の双子の娘が春に家を出て、夫婦だけになった後のことを考えると少し怖い。
音楽の力は本当に凄い。音楽は人生に寄り添い、彩り、その時間の価値を高めてくれる。メロディーに乗せたら言えることがあったり、誰かの歌詞に代弁させて思いを伝えたり……最強のアイテム。だから、大切な時間や思い出にこびり付いて剥がすことができずに苦しむことだってある。イントロを聴くだけで一瞬にしてその時が蘇って、嬉しかったり苦しかったり悲しかったりする。
音楽の力をよく知っているであろう佐藤みゆきさんがこの作品を演じられるのを観られて、本当によかった。歌もよかった。
森崎健康さんは、以前から味のある素敵な俳優さんだったけれど、いやぁ〜惚れ惚れする。
この二人の未来を、2時間半の帰路でずっと考えていた。きっと新しい人生を応援し合うのだろう。それでも、かつて志したあの仕事に対して「今からだって遅くない」と思える二人なのだから、人生を共にやり直したってイイ。その可能性を残してくれた須貝英さんの優しさに感謝して床に就こう。
■おまけ■
結婚式の入場BGMに大好きなビートルズの『IN MY LIFE』をタック&パティという夫婦デュオのカヴァーで使った。その一週間後にブルーノート東京で行われた彼らのライブに出かけ、1stステージを終えた二人に声をかけると楽屋に招かれた。式のことを伝えると、2ndステージで予定になかったその曲を「二人の為に」と紹介して歌ってくれた。素敵な夫婦だった。
https://youtu.be/WB6eHS8Bwos