シアトルのフクシマ・サケ(仮) 公演情報 燐光群「シアトルのフクシマ・サケ(仮)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    坂手洋二の舞台は、あまり知られない事実に基づいて書かれていることが多いが、今回は、はじめからフィクションだと断ってある。
    先の東北地震災害で、生産拠点である酒蔵を流された地元の醸造業者が再生に向かって進むストーリーだ。その再生の方途として海外での日本酒の醸造を探る。劇中、その可否について、そこは今までの坂手の舞台と同じく、さまざまな情報が描かれている。
    醸造という産業では測れない多くの歴史的、地域的問題もあって、問題点はうなずけるが、実際に当面する問題と、ドラマで見る葛藤とではずいぶん違う。突然の災害に出会った地域に住む人たちにとっては共通の問題だろうが、それが言わばローカルで止まるのが作者にとってはもどかしいものだったようだ。今回は従業員も数名という酒蔵を世界的な広がりの中に出してみる、という意図はわかるが、それなら、このおなじみのドキュメンタリー証言形式がよかったかどうか疑問が残る。もっと思い切ってフィクションに寄った方が、もともと劇的構成については長けている作者だけにパンチがあったのではないか。

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    2021/11/30 17:44

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