この事件を報道する機関を日に一社ずつ減らしてください 公演情報 森プロ「この事件を報道する機関を日に一社ずつ減らしてください」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    藤沢チヒロさんデザインの漫画チラシが秀逸で内容はそのまま。マスコミ報道のあり方に一石を投じる為、報道被害の過去を持つ主人公(柴田塔氏)はTV局の上司(馬原颯貴〈まはらそうき〉氏)を人質に立て籠もる。要求はこの事件を報道するTV局を一日一社ずつ減らすこと。名前は微妙に変えてあるが、NHK、日テレ、TBS、フジテレビ、テレ朝、テレ東の6社の代表が集まり協議することに。人狼ゲームのようにそれぞれの思惑が絡み合い、話し合いは進展して行かない。

    テレ朝の代表に無理矢理された下っ端AD役、葉月乃彩(のあ)さんのキャラが秀逸。自分で物事を考えられない、周囲を苛つかせる頭の悪い弱者を見事に表現。それでいて自分なりに必死に生きている様がリアル。テレ東の熱血女性正義漢、舘花(たちはな)美砂さんも印象に残った。役者陣はそれぞれ魅力的。奇妙な人間模様と遣り取りが寓話的で心地良い。
    リアルタイムで一般世論がどうなっているのか知りたかった。

    ネタバレBOX

    何が本当で何が見世物なのか境目のない世界を手探りで駆けずり回る狂騒曲は、筒井康隆の「48億の妄想」なんかを思い出す。内田裕也の代表作、「コミック雑誌なんかいらない」は皆の嫌われ者の芸能レポーターが豊田商事会長刺殺事件の現場に居合わせ、止めに入って血塗れにされるのがクライマックス。宅八郎は「週刊ポスト」への復讐に、自費で探偵を雇って編集者を付け回しスキャンダルを私的新聞で暴き立てた。

    今作は主人公に魅力が無い為、ドラマとしては弱い。主人公に余り語らせず、目的不明の方が話を引っ張れた。TBSの記者(金子伸哉氏)が報道から撤退する時犯人の構想に駄目出しをするのだが、それが尤もな話でとにかく穴が多い。重要なパーツが欠けているような物足りなさがある。果たして娯楽を享受している受け手側は、人命が大事だと思っているだろうか?

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    2021/11/26 23:04

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