実演鑑賞
満足度★★★
充実熟練の劇団の幹の太さ。
主演の菜ノ香マカさんの声が印象的、耳に残る。買収されて倒産を免れた、嘗て時代小説でベストセラーを連発した出版社。今では社内報とフリーペーパーの制作で静かに死んでいくのを待つだけの日々。若手のOL三人組が新選組の松原忠司の小説出版の企画を立てる。古株の面々は会社での自分達の立場を熟知している為、耳を貸そうともしない。今では「愛染終と東京ニューセレクト」を名乗ってムード歌謡の練習に熱中。それを覆そうとするOL三人組と構想を練っている松原忠司主人公の時代小説が交差する。
「愛染終と東京ニューセレクト」の『血風リトルトーキョー』が会場でCDを発売する程出来が良い。是非会場で聴いて頂きたい。編集長役の魚建氏を東京AZARASHI団以外で初めて観た。流石に唯一無二、替えが効かないオンリーワン。松原忠司(主催・作・演出の西村太佑〈たいすけ〉氏)と許されぬ恋に堕ちる関田豊枝さんが大人の色香を芳しく刻み付ける。奥住直也氏演ずる「うしろの正面」が最高のヴィジュアル。熊木拓矢氏の「隊士③」がアムロ・レイ化するシーンが爆笑を呼ぶ。新選組と富野由悠季節はかなりリンクする。
非常によく練り込まれた世界、謎の柔術新選組四番隊組長、松原忠司の誠実で凄絶な物語が今こそ刻まれる。