実演鑑賞
満足度★★★★
21日の日曜の午後、下北沢の小劇場B1で上演された劇団だるま座公演『1/4の楽園 1999ー或るキャバレーの唄』千穐楽を観てきた。この舞台は創立25周年を迎えた同劇団による周年記念作品で、一部配役がダブルキャストとなっていて、それぞれを「お湯割り」「水割り」と名付けて上演されたもので、自分が観たのは全体の千穐楽で「水割り」チームの公演。もっとも、お目当てはシングルキャストとして出演していた知人の役者・古川奈苗を観るためである。
ストーリーは、1999年に映像作家・玉夫が出会った創業25周年を迎えるキャバレー「夢幻」(ムーランルージュと読ませる)を舞台に、オーナーの喜八や幼なじみの地回りヤクザの勘助、地元銀行の融資課課長の神取や男性常連客と、ムーランルージュの従業員達が繰り広げる人間模様。その中心は、喜八&勘助とホステスの百恵&アグネス。時代はキャバレーを置き去りにし、ムーランルージュの先行きが不安定なところで巻き起こるてんやわんや。そんな中に現れる父親探しの少女がアグネスの娘である事が分かり・・・・。喜八は、店をそのアグネスの娘・アキラに譲り、街を去る。幼なじみのヤクザ・勘助も百恵と共に同じく街を去る。そうした一連の騒動をカメラに収めた玉夫は、アキラと次の世代を生きていく。唄あり踊りありギター生演奏あり(常連客役すだあきらの演奏が心を打つ)の2時間。
1999年ごろのキャバレーを知る自分としては、懐かしさあり、キャバレー衰退の悲しさあり、アキラの今後の活躍に期待ありと言ったところか。そうそう、お目当ての古川奈苗はシングルキャストとしてアキラを好演。百恵役の板東七笑やオーナー喜八役の剣持直明も存在感があった。
アッという間の2時間の舞台。帰りがけに、物販コーナーで上演台本が掲載されているプログラムを購入。喜八役の剣持直明が劇団だるま座の主宰者。彼の演技は、前回の兎座で初めて見た。小劇場系劇団で25周年というのは凄い事だ。今後の活動に期待したい。