シアトルのフクシマ・サケ(仮) 公演情報 燐光群「シアトルのフクシマ・サケ(仮)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    座席1階

    なぜ仮題となっているのかは、劇の最終盤で示される。珍しいタイトルだが、まさに、地震・津波や原発事故で痛めつけられた福島を象徴する主題だとわかる。

    物語はフィクションだが、極めてリアリティーの高い描かれ方をしている。それは、背景にある原発事故を政府が「アンダーコントロールされている」と強弁したところや、放射能で汚染された古里の土地についての地元の人の思い、試行錯誤の観光振興の取り組みなど、現実世界をベースに描かれているからだ。それは、この物語を構想した坂手洋二さんの真骨頂なのだろう。

    津波や原発事故で廃業の危機に直面している浜通りと中通りの酒蔵が、お互いに手を取るようにして米シアトルで日本酒づくりをするという夢のような物語だが、実現したら本当にいいだろうな、と思う。現実にはこの物語でも描かれた酵母菌だけでなく、コメ、水をどうするのかということになる。カリフォルニア米はあるものの、日本米のように日本酒になったときに深みのあるあじわいを保てるのか、水の質も違うだろう。でも、それを乗り越えて生きようとする人たちの姿はとても力強い。半面、原発事故の罪深さを浮き彫りにしている。

    舞台の左右に大きな酒の樽が鎮座する。これが、福島第一原発でメルトダウンした炉心を冷やすために使われた後の汚染水タンクとオーバーラップしてとても興味深い。造り酒屋の樽でなく汚染水タンクが果てしなく連なる現実を悲しまずにいられない。

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    2021/11/23 07:29

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