女心と関ケ原 公演情報 SPPTテエイパーズハウス「女心と関ケ原」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    一見、書けない歴史時代(女好き)小説家、霧島蒼龍の創作活動とそれを手伝う編集社のドタバタコメディのようであるが、そこに登場人物の心情を絡ませ味わい深く描いた佳作。歴史時代小説家シリーズ第二弾ということもあり、前作の創作光景を映像で見せる工夫。それもサイレントで弁士に語らせるという手法が面白い。
    (上演時間2時間 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    中央に階段状の舞台、正面は映像用の白幕(スクリーン代り)、下手に座敷を思わせる平台に文机。この場所は歴史小説を書くための想像力を喚起するため、劇場を借りているという設定。獏芸社は、やむを得ず物語の構想をシュミレーションしながら創作するという前回に倣った苦肉の策をとる。そして例によって書けない(遅筆)ことから、獏芸社の面々が何とか協力し執筆させようとあの手この手と試みるが、霧島(帆之亟サン)は何だかんだと理由を付けて書かない。

    今回は関ケ原の合戦における島津義久と義弘兄弟の奮闘をイメージしているが、それだけでは物足りず女性(奥方)を登場させようと。女性を登場させることによって現代に繋がりを持たせる。恋愛の多様性、セクハラ等の問題提示。この場に来ている編集者にBL(ボーイズ・ラヴ)の関係になっている者、編集長は若い女性・入来林桜(小林加奈サン)だが、霧島と何らかの関係があることが仄めかされる。演技は皆さん達者だ。

    物語の展開が、現在と過去(関ケ原の合戦)と行ったり来たりし、それが更にシュミレーションの世界であることから、場面毎に脳内整理が必要。そして関ケ原における島津軍団の武勇が小説の一端として描かれることから、歴史(合戦)情景を思い描けなければ、いつの場面か混乱し足踏みしている感覚に陥る。物語としては面白いのだが…。歴史観の混同がないようにと「忠臣蔵」、それも俵星玄蕃という講談の創作ネタを挿入してくる凝りよう。他にも「江戸っ子」の定義云々など脇道ネタの幾つか。

    役者は現代と過去の往還に合わせた言葉遣いに変え、外見も着物姿であったり現代の洋服であったりと楽しませる。サービスとして劇中劇(ショー)として歌(昭和歌謡等)やブロードウェイ・ミュージカル「ムーランルージュ」を観(魅)せる。テンコ盛りの内容はそれぞれの場面においては面白可笑しいが、全体を通して見ると、創作活動支援(試演)の域を超えている、と思う。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2021/11/21 12:58

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