愛するとき 死するとき 公演情報 世田谷パブリックシアター「愛するとき 死するとき」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    ドイツの芝居は滑らかな物語で観客を癒したりしない。非ドラマ、アンチ演劇の舞台。ドイツ演劇の全てがそうではないだろうが、なぜか日本で紹介されるのはそういうタイプが多い気がする。
    終始、説明役(コロス)がいて、これが演技にすぎないことを思い出させる。場面は断片的で、人々が苦しむ原因は背景を匂わせるだけ。東ドイツ時代を知る人には大きな喚起力を持つかもしれないが、日本の客にはぼやけた世界で少々歯がゆい。政治を背景にしているのに、セリフは「セックス」を語る方がしばしば。

    東ドイツ時代、1979年の高校生時代を描く第一部。壁の中の無邪気な青春。映画監督になるため、西へ行こうとした級友(前田旺志郎)はハンガリーとオーストリアの国境で拘束されて、懲役へ、そして兵役へ。40分

    第二部が見応えある。映画撮影(監督=浦井健治)のような形で、父が亡命し、母(高岡早紀)と兄弟(小柳友、前田)、かつての抵抗派の同志で12年の収容所生活(クリーニング)を終えたおじさん(浦井)の暮らし。弟の担任の女教師山崎薫)の存在がいい。今は厳格な体制派だが、かつては同志だった。夫(浦井)は辛い経験(内容は不明)で、セイシンを病む、腑抜けのようになっている。その家に母が、弟ペーターのことを頼みに、金(多分ドル)を持ってくる。1時間

    第三部、壁は無くなり、ドイツ統一後。妻子と別居中らしい男(浦井健治)は、ミックスの女(高岡早紀)と出会う。男と女のモノローグが交互に続き、対話はない。壁は崩れたのに、幸せはこなかったというかのよう。ただ言明と孤独だけが残った。壁の向こうという「夢」があっただけ、社会主義体制の方が良かったというかのように。20分

    休憩が2回、各15分あり、2時間半
    芝居の内容についてはこちらが参考になる
    https://enterminal.jp/2021/11/aisurutoki-report/

    ネタバレBOX

    第二部の最後、兄弟、結局弟が車で国境を越えようとして止める。恋人アドリアーナ(岡本夏美)のために。でもおとうとが兵役に行っている間に、女は他の男と。時間だけが過ぎていく。
    第三部最後に男は「こうして惑星は消えた」と呟く

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    2021/11/20 15:56

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