天気のいい日はボラを釣る 公演情報 studio salt「天気のいい日はボラを釣る」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    温かい甘水に満たされる思い
    ほのぼのとした風景が多く観た後に本当に優しい気持ちになれる作品。
    芝居は釣りのシーンから始まるが、フライヤーに似たような風景は、大きなスクリーンに流れる綿菓子のような真っ白い雲や、橙色の夕焼けを映し出す事で見事に演出する。

    観劇後、打ち上げと称する飲み会があります。これに参加すると楽しい。(^0^)舞台で使ったボラ鍋(豚汁)やおにぎり、つまみ、漬物、イカのから揚げ、卵ぶっかけご飯、メンマ、シュウマイなど出してくれます。飲み物はビール、ワイン、焼酎など。(空き缶は潰さず回収し、次の舞台で使用)キャストやスタッフも慣れたもので観客を飽きさせません。実に楽しいひとときでした。



    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    川辺を住居としているブルーシートの人たちの人情劇。
    鮮やかな緑に囲まれた川のほとりに今にも倒れそうなブルーシートの小屋。ここで暮らすシゲさんが釣りをしているシーンから始まります。その風景は本当にのどかで、釣竿の先では、太陽の光を反射して銀色に輝いてる魚が時々ピシャ!っという小さな音をたてて水面を切るようにして飛び上がるさまが想像できる。
    シゲさんの所には社会で生きられなくなった人たちがいつの間にか、住み着くようになるが、やがて彼らは役人の説得により役所が用意した仮設住宅に一人、二人と移動し始める。その間、窃盗や暴力、台風などの天災によって現在の環境では居られなくなるもシゲさんだけがこの場所に残る。

    物語の内容は実際にありそうなありふれた風景を描いているが、この物語の凄いところは、ありふれた風景に心という心地良い感触と小さな熱を加えることで、こんな風に優しい物語になるのだと、そう思いました。
    この世の不条理とか己の身の上に推された烙印の深さとか、生きるとは何か、死ぬとは何か、いったい私達は何に向かって転がり続けているのか・・。そんな心持ちになった舞台。

    全体的に優しげで温かみがあって日向の匂いのする物語です。
    彼らは変わる事を切望しながらも自分が変われない事を嫌と言うほど理解し、そうして淡々と空き缶を潰しながら生きていくんだよね。人が生きていくと言う事は何かを捨てていく事ではなく、広い集めていくことではないのか・・、この空き缶のように。

    役所の職員や牧師が彼らに話しかけるシーンは滑稽でオカシイ。(苦笑!)
    シマウマがライオンに「一緒に遊ぼう!」なんて言ってるようなもので、会話が成立していない。つまり、生きてきた環境が違いすぎるし、価値観も経験も違いすぎる。だから、吐いてる言葉は理解できても会話は成立しないよね。そんな可笑しくも切ない要所も随所に取り入れ、役者の表情や目の動きや仕草で演じます。決して劇中のセリフは多くない。多くないけれど役者の演技力で魅せます!実に素晴らしい舞台でした。

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    2009/05/22 13:44

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  • この舞台の素晴らしいところはカラスの声や、サイレンや、川のせせらぎや、電車の音や、導入音楽が郷愁的だったこと。舞台ってそれらの音の織り成す効果が絶大なほど響くでしょう?私たちの心に。

    はい。その通りですね。駅でも公園でも見かけますが関わらないように通り過ぎていますね。

    終盤、大晦日の夜、かつての仲間だったタマ(女性)がシゲさんにおでんを持って訪れるシーンはなんとも美しい情景なんです。遠くで新年を告げる花火の音が聞こえて、人生のドラマを感じました。また、焚き火のシーンがあるのだけれど、匂いまでも感じて不思議でした。

    毎回、恐れ入りますm(__)m
    いつも褒めて戴いて励みになります。

    2009/05/22 19:02

    あぁ、いい感じのお話ですね・・。

    観終わった後、優しい気持ちになれるような・・。
    レビューの文面からそんな雰囲気を感じます・・。

    こういった社会の底辺に息づく人達にスポットを当てた作品って沢山みますけど、アプローチの仕方によって随分印象が違ってきますね・・。

    ただこうした作品で、ああ、こういった方達も一生懸命生きてるんだな、と意識できることはとても大切かも・・。
    おそらく殆どの方が普段気に留めることもない風景でしょうから・・。


    そして今回もレビューの文章が素晴らしい・・。

      ・・・何かを捨てていく事ではなく、広い集めていくことではないのか・・・。

    この箇所、素晴らしいです・・。

    こんなレビューで綴られる舞台って、さぞかし素敵な作品なんだろうな・・。
    読んでてふと、そんなことを思いました・・。

    2009/05/22 16:29

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