廻る礎 公演情報 JACROW「廻る礎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    前回の田中角栄評伝劇もそうだが、こういう著名な歴史的人物を演じる場合、形から入るのが常道だ、今回の吉田茂も基本、よく似せているのが良い。吉田が首相就任を最初に辞退したときに、「それでも、てめえ男か」と内縁の妻のこりきが啖呵を切る場面がすごく良かった。思わず拍手が出た。あとは議論が続くので少々ハードな芝居である。

    自主憲法制定派の鳩山、岸に対して、吉田は護憲派だったというのは、単純化してはいるが、多分そうだろう。憲法は変えずに警察予備隊=自衛隊をつくる、アメリカの改憲・軍拡要求には、要求を値切り値切り付いていくというのが吉田の敷いた路線だった。ただ、吉田の護憲は日米安保=米軍基地温存とセットだということがよく分かる。米軍基地撤去と自力防衛の改憲派に対し、再軍備反対(後に軽武装)の護憲派は日本防衛は米軍の力を借りる考えだった。これは憲法1条と9条がセットであるのと同じ、暗黙の了解事項であり、平和憲法が抱えるアポリアである。

    この芝居に出てくる戦後を舵取りした宰相たちにくらべ、90年代の竹下登以降の顔ぶれの小物ぶりはいかんともしがたい。小泉純一郎は例外的な一種の傑物と思うが、安倍晋三に至っては。この芝居に、岸信介の長女と安倍晋太郎との縁談話が出てくる。それにしても、安倍晋三のような中身のない人間が戦後最長の政権記録を立てるとは。先の縁談を持ってきた佐藤栄作が草葉の陰で泣いていよう。

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    2021/11/07 00:25

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