実演鑑賞
満足度★★★
野坂昭如の「戦争童話集」の収録…実は本で読んだこともなく、本公演で初めて知った内容だが面白い。椿組では昨年も上演しているらしく、今年は構成・脚本・演出を今井夢子さんが担当。「野坂(原作)作品4編」、それを椿組オリジナルの「歌劇団な二人」が野坂作品の夫々の編を繋いでいく。
説明にあるとおり、日本各地に戦渦の爪痕は残り、人々の心に深 く刻まれている。しかし、その記憶も失われ、もっと言えば風化しつつある現在、この作品の問いかけている問題は「現在」 の課題として考えなければならないテーマでもある。 今回は、朗読、演劇、ダンス等・・様々な表現方法 を駆使。
内容的には重たいが、観せ方は軽妙で楽しんで観られる。逆に、その楽しんで観られることに危惧を感じた。全体的に漫画風のようで、軽い楽しさに重い内容が流されてしまったように思う。楽しみながら”想い”を知る…が、自分の想像した「戦争童話集」とはイメージが少し違った。
当日パンフに今井夢子さんが、「・・忘れてはイケナイ戦争の物語を、悲惨さを伝えるのではなく、別の角度から伝えてみたい。椿組の愉快さや多種多様さと通して描いてみたい」とあったが、その想いと自分の想いがフィットしなかっただけ。
(上演時間1時間25分)