実演鑑賞
満足度★★★★
いわく言い難い芝居で、見ながら終始スッキリしないもやもや感がつのった。中学からの親友で一緒にガソリンスタンドを経営する夢を持つロク(勝地涼)とシド(仲野太賀)。ある施設の門番をしているが、先輩門番モウリ(光石研)から、「この施設では死者を生き返らせる研究をしている」といわれ、戸惑う。モウリの話だけで、観客もそんなことは信じられない。当然、アリもしない話をもとに、ああだこうだともめる舞台をうさんくさい思いで見ることになる。
すると見えてくるのは男たちのマウンティング合戦。モウリとロク、ロクとシド、シドとモウリ、という二人組の会話を軸に(「二度目の夏」と同じ)腹のさぐりあい、非難のぶつけ合い、優位の競い合いになる。ここらへんは話の不条理性といいピンターのよう。不条理といえば、来るかどうかわからない何かを待っている「ゴドー」のようでもある。
「しょせん言葉じゃないか」が口癖の高校時代の共通の友人は、言葉の裏など探らない、ストレートな言葉の使い手だった話。学ランを木に引っ掛けて、これからの夢を、過去にあったことのように語り合い、みんな死んでしまったあとのフリをする「学ランごっこ」の思い出。ロクとシドがそれぞれに相手には隠している問題。施設で療養していた双子の兄を探しに来たトンビはどうなったのか。などなど、互いに関係ないようなこれらが、最後にパッと結びつく。