実演鑑賞
満足度★★★★
外に出たくない女性の、現実逃避から、どうやって抜け出るか、の芝居である。ジュディ(鈴木京香)の花柄ワンピースのかわいい奥様ぶりにおどろく。甲斐甲斐しい主婦ぶりとあわせて、倍賞千恵子に似ていると思った。時間が立って思い返すと、前半はかなり図式的な気がする。後半、夫ジョニー(高橋克実)が「君は夢の世界に住んでいる。僕にはこんな生活はいらないんだ」と本音を言い始めるところからが見どころ。もう一つは、母シルヴィア(銀粉蝶)が娘の勘違いに腹を立てて、50年代の混乱と家父長制と女性のいきにくさを語る圧巻の長台詞。びっくりした。
シルヴィア「あんたのやっている(専業主婦)ことは男が望むことよ」
ジュディ「どうして家事は評価されないの」
シルヴィア「男がやらないからよ」
ジュディ「働け、働けって、それって、資本主義的すぎない?」
男の保護家から抜け出ようとすれば、資本主義の賃金奴隷になってしまう。自営業は別だが。その矛盾をサラリと示したセリフで、注意を惹かれた。