実演鑑賞
満足度★★★★★
兄夫婦と暮らす、ごく普通にどこにでもいそうな娘さん紙屋悦子に突然舞い込んだ縁談話。
縁談話を持ってきたのは兄夫婦ではなく、悦子が秘かに想いを寄せている男性。
好いた人が仲人って、こんな切ない状況ってあるでしょうか。
案の定
想いを寄せる少尉はキリッとした男前、実に誠実そう。
少尉がお見合い相手に連れてきたのは図体でっかい非モテ系。あぁぁ
下世話な言い方はここまでにして、それぞれの人となりが交差するぎこちなさに自然と笑いが生まれつつ、どうにも歯がゆくて、何ともやり切れなくて、観ているこちらの感情も慌ただしい。
紙屋悦子の(地味な)青春。
そんな地味さの奥に流れる熱き想いと聡明さ。
流れゆくシーンの数々に思わず頬を緩め、時には涙腺を緩ませ、やがてはため息が漏れるラストシーンへと
戦時中を生きた家族の何気ない悦びや避けられない哀しみに寄り添いながら、ジンワリこみ上げてくる幸福感・・・この武骨な幸福感は日本人だからこそ共有できる感情なのかもしれない。