実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/09/12 (日)
シアターグリーンにて東京ハイビーム『新My Sweet Baby』を観劇。
近年他国で広がってきているという「代理母出産」をテーマとした社会的な?コメディー作品。タイトルに“新”が入っているので、一度上演した作品のリメイク版なのかもしれませんが、個人的には東京ハイビームさんの作品を観ること自体が初めてでした。
まず今回のテーマとなっている代理母制度について。キーワードを聞いて何となくの漠然としたイメージは抱いたものの、正直なところ今まで深く考えたこともなく、知識はゼロに近い状況でした。そのため、この舞台で繰り広げられる内容はとても新しく、「なるほど」「こんな仕組みがあるのか」と一つ一つ理解を深めながら観ることが出来、勉強になりました。
コメディー作品の位置付けのためか、序盤は賑やかな展開に加え、ウケ狙いのやり取りが散見され、せっかく良いテーマを扱っているのに勿体無いと感じる場面もありましたが、中盤から終盤にかけての母2人の心情や、それを支える夫の心情にリアリティーがあるように映り、物語に引き込まれる感覚に陥りました。それぞれの立場を考えるとなかなか複雑でどういった形が好ましいのか分からない。そのモヤモヤした気持ちを抱いたまま突入したクライマックスのシーンは、何というか、モヤモヤが一気に晴れるようなほっこりとした展開に感じました。最後の胎児が代理母のお腹の中で話した内容、また、父母母の3人で赤ん坊を抱くシーン良かったなぁ。。思わず見入ってしまいました。人生は奇跡の連続。命のありがたみを再認識しました。
強いていえば、ストーリー展開上、特に深い関わりが無さそうに思えるやり取りが多めに感じたのと、やや「??」の登場人物が存在したこと。もう少しコンパクトにまとめても良かったのではないかという印象も受けました。
コロナ禍での上演のため、入場時の検温・消毒はもちろん、換気や座席数の制限、最前列の観客にはフェイスシールド着用を求めるなど、徹底した感染防止対策が講じられていた点は良かったと思います。役者さんで特に印象に残ったのは父親役の小谷嘉一さん。イケメンなのに面白い役どころ。赤ん坊役の美月まりもさんも役回りに合った無邪気で輝く表情が印象的でした。代理母役の黒田由祈さんの熱演も良かったです。初見だった東京ハイビームさん。また他の作品も拝見してみたいところ。