映像鑑賞
本気モードのクドカンと<のん>の真剣お遊び舞台(そんな触込み?)に心惹かれていたところ配信を観られてラッキー。映像では編集の妙もあったか知らんがそれはそれ。
舞台は過去散見した宮藤官九郎のどの作品より濃く、パスタのソースをゼータクに麺に絡めて頬張る的観劇に五感が満足。(もっともオチのクドカンらしい気抜け、劇的高揚を演劇らしく作る松尾スズキとの違いは性格の違い?)
観ながらしばしば思い出したのは、その松尾スズキの「キレイ」。未来の日本、ディストピア、戦争、逞しく生きる者たち、強迫神経症な者たち、生物学的人間でない人間、ナンセンス、荒唐無稽な話・・と共通点が挙がるが、無茶苦茶加減は「キレイ」に及ばず。ただ、基本バンドによる限りなく演劇に近接したライブ、という変異種の強味は楽曲じたいの美味さ。歌、ギター、ドラム、サックス、キーボードと出演者がこなすステージは基本ライブに「演劇」なる濃厚ソースが掛かり、もはや演劇(でも元はライブ)という様態。美味なるシーンの羅列であった「キレイ」に並び、羅列礼賛論へと手招きする蠱惑的舞台ではあった。