カメラ・ラブズ・ミー!【兵庫公演中止】 公演情報 ムニ「カメラ・ラブズ・ミー!【兵庫公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    平田オリザ直系の現代口語演劇ユニットは多いので突出した印象を残しにくいが、ムニ又は宮﨑企画はどこかで観て「悪くなかった」との記憶だけある。
    「須磨浦旅行譚」は殆ど事件らしい事件は起きないが(いや事件と言えば冒頭の「遭遇」がそれだと言えばそれで道程にさざ波を与えているが)、日常と旅の混じる小旅行独特な気分が伝わり、質素感が何とも言えず心地よい。女子二人に同道する事になった青年が不思議と馴染み、一期一会の切なさ(刹那さ)が旅気分を嵩増しする。若者だけに長い人生の旅に重なり、重さの中の僅かばかりの明るさが「戦前?」と思わせるばかりに慎ましい。無常感というのがむしろ近いか。
    こちらが良かったので短編二編の方も観た。不可思議な「回る顔」はメタファーを読み取れず。後半の「昼間森を抜ける」は題名が謎だが、「須磨浦」以上に一期一会の含蓄あり、異性との儚(はかな)切ない一風景を切り取り、人生の長さの中に据えている。秀作。
    地味に逞しい女子といじましい男子の小さな出会いは、数日後の「じゃ、また」で締め括られる短い電話で終わる。男は未練だが女はあっさり、が通り相場だが女性作家が敢えてこの残像をラストに据えた意図は何?と淡い期待をもって詮索する。男にとっては老いるごとに強烈になっていく思い出の一つ(と芝居でも明かされる)だが、女にとっては・・?
    南風盛もえが「須磨浦」と共に出演、不思議系な女子を好演。

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    2021/08/23 06:16

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