ジェイミー 公演情報 ホリプロ「ジェイミー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    17年初演のロンドン ウエスと・エンド ミュージカル。イギリスモノだけあって、16歳のゲイの男の子ジェイミー(私が見たのは高橋楓の回)が根強く残っている家族、学校、社会のゲイ差別の中でドラッグ・クイーンを目指すというサクセスストーリだ。
    もともとは、テレビのドキュメンタリーから発想された作品という事で「社会派」である。ミュージカルには古くは「マイフェアレディ」の階級、言語差別、「ウエストサイド」や最近の「インザハイツ」に至る移民差別、など差別をテーマにした名作があるが、これは性差別がテーマである。イギリスは同性愛を犯罪としていた時期もあって、それだけに社会の中にある種の緊張感がある。それがこの本来は無邪気な若者の成功物語にも影を落としていて、このミュージカルはよく考えられている本なのだが弾まない。
    物語は、義務教育終了まじかの教室から始まる。これから社会へ出て行って何者になるか、と言うだれしも経験する期待と不安の門出である。
    ゲイの主人公は、母(安蘭けい)には理解されているが父(今井清隆)はきもいと言って家を出てしまった。居場所はそんな母子家庭とかつてのドラッグクイーン(石川禅・この俳優はホントに日本のミュージカルには欠かせない名脇役だと思う)が営んでいる貸衣装やである。卒業前のイベントが迫っていて、そこで主人公は女装を見せようとするが、それをめぐって家を出た父親との葛藤、イスラムのヒジャブを被った恋人(山口乃々華)、ゲイを理解しない男友達、理解はするが解決しようとしない教師(樋口麻美)などの学校でのドラマが展開する。
     日本でも様々な場でジェンダーの問題が表面化してきた昨今、時期を得た企画にもとれるが、やはり、イギリスとは社会環境が違う。切実さが伝わってこない。ストーリーは平凡な進行だが、曲に終演後も残るような名曲がない。ダンスにも際立ったナンバーがない。一つには時節柄、イギリス人の演出家を起用しているがリモート演出だという事も影響しているのかもしれない。言葉は悪いがずるずると締まりがない。
     俳優で言えば、私も見た若いカップルは残念ながら力不足。特にまずいという事はないのだがドラッグクイーンと言い、イスラムの美女と言うならやはり、ハッとするよううな地の魅力が欲しい。今回は脇に支えられたと言う感じだ。
    一幕・1時間20分、15分の休憩をはさんで二幕1時間15分。


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    2021/08/18 12:11

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