実演鑑賞
満足度★★★
正しき見世物。
地獄の門が開き、亡者共が甦らんとする。舞踏の基本スタンスはスローモーション。癲癇の発作や全身を掻き毟る動作、二人アングラPerfume、狂女の口寄せ···。
それを地獄に追い返さんとする若林淳(じゅん)氏扮する動き出した仁王像。ぎこちない動きながらド迫力で亡者共を追い立てる。
主宰でもある、三上賀代さん(68歳!)の謎めいた舞踏(演歌調)。J・A・シーザー氏の曲の強み。常に悲しみが彩られていて世界から拒絶された者達の詩が響き渡る。どこかしらダリオ・アルジェント作品のサントラを想起。森ようこさんは白塗りでも流石に美人だった。
今村昌平の『神々の深き欲望』とエド・ウッド脚本の『死霊の盆踊り』を同時に観ている感覚。高尚な芸術にも笑いにも落とし込んではいけない絶妙な価値観のバランスが必須。どちらかに偏ると“理解”されてしまって、“消費”されてしまうのだろう。