お菓子放浪記 公演情報 チーム・クレセント「お菓子放浪記」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2021/06/28 (月) 13:00

    座席1階

    チームクレセントが演じ続けている、西村滋作品。以前のミュージカルではなく、ストレートプレイで行われた。新聞用語では使えない「みなしご」であるシゲル少年の戦中戦後を描いた物語だ。

    甘いものが大好きなシゲル少年は孤児院からの脱走の途中、空腹のあまりお菓子を万引きしたところを刑事に目撃され、捕まってしまう。その刑事は、シゲル少年に菓子パンを買って与えた。恩を忘れないシゲル少年は、そのパンの味をずっと胸に秘め、教官らの暴言と暴力にさらされた感化院での生活を耐え忍ぶ。
    だが、感化院には富永先生という音楽好きの女性がいて、この先生が歌う「お菓子と娘」というフランスの歌をシゲルは覚える。この先生の存在と歌も、感化院を耐え忍ぶ力となった。やがて、身寄りのない老女が養子に迎えたいとして感化院を出たが、この老女は子どもを働き手としてこき使うのが目的の人だった。さらなる苦難が続く中での心の支えはやはり、あの菓子パンの味と、先生の歌。やがて日本は太平洋戦争に突入し、シゲル少年は老女の元を飛び出す。

    テンポよく進む舞台。シゲル少年があざとく汚い大人たちに虐げられながらも真っすぐ生きる姿がとてもけなげだ。やはりミュージカルよりストレートプレイの方が感動できると思う。
    劇中、シゲル少年が加わった旅の一座の女形に召集令状が届く場面がある。性同一性障害で女として生きることを決めて女形として舞台に立つ彼女だが、戸籍は男性のため召集されたのだ。あの時代、召集令状は絶対逃れられないものだった。「人を殺すなんてできない」と悩んだ彼女は、送別会を抜け出して首をくくってしまう。シゲル少年の物語であるのだが、彼を取り巻く多彩な人たちの物語も、この舞台を盛り上げてくれる。

    千秋楽の観劇だった。小劇場を埋めたのは比較的若い世代。読書感想文の定番だった「お菓子放浪記」を読んだ世代よりもずっと下だろう。西村作品の心が、この舞台によってしっかりと引き継がれていったと思う。

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    2021/06/28 17:27

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