期待度♪♪♪♪♪
昨年の燐光群流「別役実」は意外に正答を得たものであったが、その延長戦をやるとは・・。
燐光群は以前別役作「象」をやっているが、日本で最も多く戯曲を書いた(確か140本以上)別役実の「象」を含む初期作品群は(他でもない別役作品だが)少し肌合いが違う。実社会の中にテーマ性が窺える作品、と言えば良いか(あるいは時代のキャンバスに描かれた絵)。従って初期作品はその「拠り所」がある点で上演作品としての難易度が低い。だが程なく確立されて行く別役世界はその「拠り所」がなく、戯曲を成立させるのに演出と役者は難題を突きつけられる(この事は失敗した別役舞台から推測される)。しかし拠り所に縋らず自立できた舞台は、観客に鋭い刃を突きつける。
前回この部類の別役作品を社会派の燐光群が「成立」させた事に自分は驚いたのだが、「短編」への挑戦はその意味でのハードルをさらに高くする。果して・・不安と期待は正直半々である。