実演鑑賞
満足度★★★★★
#その前
#東京タンバリン
#高架下空き倉庫
演劇に不慣れな人でも、1時間前後の公演だから試してみてはいかがだろう。その長さとは思えないほどの充実感。それは、これまでに何本もこれくらいの長さの作品を作ってきた実績によるものに違いない。この尺では物語が転がる前に終わりかねないし、だからと言って要素を盛り込めば尺に収まる訳がなく、無理に収めようとすれば薄っぺらくなる。しかし本作は、クロスワードパズルを用いたクイズ的な心理戦…いや、推理をさせながら、実に豊かに物語を転がしていく。そこに現代社会への風刺をユーモアに包んで忍ばせる。
スマホ等ネットを使ったコミュニケーションはできても対面で会話できないディスコミュニケーションは至る所にある。それは陰口や噂話や誤解の温床。そこに真実はどれくらいあるのか。嫉妬というスパイスを振りかければ、たちまちピリッと辛めのドラマが転がりだす。シーンの切り方繋ぎ方が観客の興味を掻き立てる。
これまでの上演でもダンス…というかムービングを取り入れていたけれど、今作のそれは小道具の受け渡しや衣装替え(上着を着たり脱いだり)も含ませて、美しいだけでなく、会場の特徴に合わせた見事な動きだった。その中で、キリッとした目鼻立ちと姿勢の良さで #青海衣央里 さんの美しさが際立った。
#萩原美智子 さんの大胆なラップには度肝を抜かれたけれど、なんだか気持ちよくなってきて普通に聴けてしまった不思議。
仕方ないのだけれど、あの距離での対面客席は、向こうの観客の表情が気になって、集中するのが難しかった。