Don’t say you can’t 公演情報 一般社団法人グランツ「Don’t say you can’t」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    知的障害者施設を舞台に、他人の支えなしに生きられないことは「罪」なのかとじんわり語りかけてくる。1964東京五輪・パラリンピックの立役者・中村裕医師の史実もストレートに織り込んでいた。障害者が社会復帰の自信を持つために、医療よりもスポーツが力になると、障害者スポーツを広めていった人。道を切り開いた当時の選手のドラマも劇中劇で演じて、素直に感動した。

    障害者の娘に「厳しくしてください」と執拗に施設に求める母親。その心中は「この子は自分で自分を守らないといけないから」という親の思いも切実に分かる。施設で働き始めるシングルマザーと、事故で車椅子生活になった元彼氏の再会のストーリーが、この芝居をいわゆる「障害者もの」に終わらせていない。ぐんと幅広い作品にしている。ふたりはかつて演劇仲間で、この再会が新たな演劇への情熱をうみ、障害者たちによる芝居作りへとつながっていく。演劇愛がこめられた展開だ。そこに娘の出生の秘密、シングルマザーとして生きていく決意を後押ししてくれた曽祖父のこと、など心に訴える場面も絡んで、本当によくできた舞台だった。

    2020東京五輪・パラリンピックは開催できるかどうか不透明だが、たとえ今回できなくても、パラリンピックの意義は変わらない。

    ネタバレBOX

    知的精神障害者30人も参加する桜座のプロデュース公演だが、キャストとしては桜座のメンバーは出ていない。途中、64年のパラリンピックを解雇する場面で、周囲の黒壁に応援の落書きを多人数でワーッとかきまくる。そこで桜座の人も数人(日によって一人から五人)落書きに参加する。それをしらなかったので、障害者役のなかに本当の障害者がいるのだろうと思って見ていた。実際はプロの俳優だったわけだが、本物の障害者に見えた。さすがである。

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    2021/03/27 10:19

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