実演鑑賞
満足度★★★★★
本作はコロナをテーマとしたコロナならではの演出。脚本演出である木下半太監督は劇団活動以外にも有名小説家であり、多数映画化されている。サスペンス作品も多いが本作は木下監督のコメディのレベルの高さを感じることができる。脚本の素晴らしさはさることながら、誰でも入団できる劇団を謳っているが芝居の要となる演者は皆プロで活躍する役者達なのでジェスチャーやセリフによる間のとり方、確実に笑いをとってくるのでこちらも安心して笑える心地良さだ。
本作は短編7編で構成されている。オムニバスでありながら一見なんの繋がりもないストーリーに感じるのはジャンルの多様さにある。まるでアイザックアシモフを彷彿するSFの一編やシチュエーションコメディをオマージュした一編、そうかと思えば日常2人芝居にメタ発言をぶっ込んだ一編。ここでも木下監督の底知れない才能を垣間見れる。
コロナにより人々が接触を避けなればならない状況にさらされ、満足なコミニュケーションがとれない中、心の繋がりがより重要視される。本作全ての作品に繋がることは心の繋がりである。
観劇後は笑いによる爽快感、そして心の充実感で満ち溢れた。
コロナは終息を迎えようとしている。コロナは私達の生活に災いしかもたらさなかったが、本作を観て人との絆の大切さを思い知ることができ、心の成長の糧になったのではないかと考えさせられた。
このような重いテーマにもかかわらず、さらりとやってのける木下監督はすごいとしかいいようがない。
このテーマに気付けない人間はこの先観劇をしても時間と金の無駄遣いである。金をドブに捨てる前にコロナで窮困している医療機関に募金することをオススメする