実演鑑賞
満足度★★★
余りこの事件に文学性は感じなかったのだが、山崎哲がどう解釈したのか気になって観劇。やはり、何かパーツが足りない印象。加害者も被害者も実名で登場。当の畠山鈴香がハルシオンの常用で日常的に酩酊しているので語り手として物足りず。殺された彩花ちゃんの視点が一番詩情豊か。鈴香の弟との絵本のエピソードが作品の軸に。
鈴香の父親役の木下藤次郎氏が中風で凄いインパクト。
謎の男、佐久間淳也氏のエピソードもこの地の業を背負った様子で素晴らしかった。
作品の良心的存在、鈴香の弟役の趙徳安氏の視点から語っても良かったのでは。
田渕正博氏演ずる鈴香の恋人的な存在、トンボ。ダンボールに囲まれたような暮らしの中、仄かに肩を寄せ合う。もしかして、どこからかそこを抜け出す方法はあったのではないかと錯覚させるひととき。