実演鑑賞
満足度★★★★
しばらく、公演を休んでいたという小劇場劇団「とくお組」の6年ぶりの新作だが、この間にこの作品の舞台となっている宇宙と我々との距離はずいぶん変わったのではないか。
このコメディの舞台は火星で、ほぼ半世紀ほど未来。人間の居住可能性を確かめるために派遣された第一次隊が行方不明になって、その捜査のために送られた第二次隊の捜査が主筋になっている。
約一時間40分の舞台は細かいネタをうまく拾って話をつなげていって笑いながら見てしまうが、作も演出も俳優も、そこまで、と言う感じがする。こういう失礼なことを言うのは最近は宇宙も随分リアルに身近になっていて(本当は相次ぐロケット失敗のようにそれほど容易なことではないのだが)こういう作りだと、どうしてもファンタジーと思わざるを得ない。そうすると、結構多い日常的なギャグや、人物設定がリアルにもファンタジーにもなり切れず、宙に浮いてしまう。そこがSFコメディとしても残念だった。
6年前までのこの劇団を見ていないので、今後の方向もつかめないが、グループのアンサンブルはいい。続く活動を見てみたいと思う。約40の席は満席。