いとしの儚 公演情報 劇団扉座「いとしの儚」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    前半は大袈裟な物言いや伝奇的設定についていけなかったが、後半、賭博に狂って儚さえも賭けてしまうあたりからよかった。博徒の業の深さ、愚かさと、儚の無垢なひたむきさが、不純物を捨て去った末に、浄化の悲しきも美しいラストを迎える。

    鈴に儚が更生を説く場面は、ラスコーリニコフとソーニャのようであり、サイコロ勝負で自滅するのは、「賭博者」のよう。恋が水になる美女とは、人魚姫のようであった。

    一両とか百両とか、何かと思ったら、この劇は明治以前の時代の設定。ただ衣装も小道具も現代なので、最初分からなかった。前近代の鬼や生まれ変わりが信じられた時代を背景とするということがわかれば、ストーリーもっとスムーズに馴染めるだろう。

    儚役の藤間爽子さんが粗暴な幼児期からマリアのような少女期までを、演じ分けて、最後に真の強さまで見せてよかった。博打・鈴次郎の荒井淳史は出ずっぱりを熱演。ライバルのゾロ政…七味まゆ味さん、鬼の荒川シンペーが脇で光った。

    開幕とともに穴だらけの白いビニールカーテンで舞台を前後に仕切って、ばめんにばめん重層的にし、ラストでカーテンを取っ払って、主演の二人を美しく照らした美術も工夫されていた。

    ネタバレBOX

    「水にはならない」と言って、花びらになるラストは、幻のような美しさであった。

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    2021/03/12 10:45

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