たぬきと狸とタヌキ 公演情報 トム・プロジェクト「たぬきと狸とタヌキ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    母だぬきの岡本麗が緩急自在の演技で見事。優しいヘルパーだぬきの榊原郁恵も明るい雰囲気で良かった。終始笑いが絶えないホームコメディだ。最後に思いがけない深刻なドラマがあり、どうなることかと思っていても、どこか安心して見ていられた。
    節目節目にのどかなナレーションが入る。「優しいたぬきは…」「五匹の動物は狼のおかげで出会えたのかもしれないと思いました」などなど。
    変だなーと思っていると、これが絵本作家の娘だぬき(小林美江)の書いた絵本とわかる。自分の家族の揉め事をほんわか絵本にしたのだと。そう言われて、もう一度ナレーションを聞き直したくなった。休憩なし100分

    ネタバレBOX

    この芝居、実は大きな企みが隠れている。歩けない老いた母と、喋れない(自閉症?)の中年息子(カゴシマジロー)思っていると、実は生活保護をもらうための芝居。もう何年もやっているらしい。不正受給はやめさせて、自分が面倒を見ようと娘が久々に帰ってきた。
    さらに、死んだ父親の残した本の間からヘルパーさんの娘時代の写真が出てきてさあ大変。ヘルパーさんとその母をこの父親が捨てて、母ダヌキと世帯を持ったという過去が明らかに。
    ただし、この件、展開が意外すぎてしばしついていけなかった。ご近所コメディのリアリティを逸脱しているのは考えもの。でなければ、きちんと伏線が欲しい。例えば、最後にボケた母だぬきとヘルパーダヌキが「同じ岡崎ですね」と挨拶するが、これが最初の方にあれば、違ったと思う。
    最後にもう一つ、歩けないふりしていた母が、本当に歩けなくなる(と、思いこむ)。アルツハイマーが進行していたことを息子が言い出しかねていたというオチまで。
    絵本作家の編集担当という生津徹がボケ役で、また別種の笑いを添えていた。

    0

    2021/03/08 21:18

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大