満足度★★★★★
鑑賞日2021/03/08 (月) 14:00
座席1階
2011年に初演の舞台だという。震災があった年だ。今年で10年目の再演。
中学校の女性教師のアパートの部屋が舞台。最初に出てくるのはこの女性教師と付き合っている彼氏で、洗濯物の女性下着を取り込んで、丁寧にたたんでいるという非常にシュールな場面から始まる。
最初に訪れる珍客は上階の部屋に住んでいるらしき中年男だ。泥酔して部屋を間違えるという設定だが、ここから果てしなく間違いが連続して起きていく。
その各々の間違いが微妙な糸でつながっていて、結局この部屋を訪れる人たちは、一見主人公と何の関係もない人たちであったはずなのに、結局何らかのかかわりが持たざるを得ないところまで追い込まれていく。何というか、これがまた微妙な「破局」につながっていく。
2時間余りの舞台だが、この舞台設定と物語を織りなす縦横の糸が非常にうまくできていて、目を離すことができない。要するに、この演劇は面白いのだ。
その面白さは、人間が誰しも持っている、他人のふるまいや出来事を「他人事」として話のネタにして楽しむような感覚だ。「眼鏡を掛けた地味なおばさんが万引きをしたところで目が合った。見つめられて気持ち悪かった」。いかにも、他愛のないエピソードなのだが、笑っているうちにこのエピソードに深くつながる災難に巻き込まれていく。都会の「他人事」の人間関係をシニカルに描いているのだが、実はドロドロの関係であったりする。
いろいろ書きたいが、書くものすべてtがネタバレになってしまうからこの辺で。残りは劇場で確かめよう。チケット代の2倍は楽しめます。
この舞台の教訓。アパートのドアを開けたら、ちゃんとカギをかけること。鍵さえかけていたらなあ(笑)