タイトル、拒絶【2月4日、5日、6日の夜公演のみ中止】 公演情報 ロ字ック「タイトル、拒絶【2月4日、5日、6日の夜公演のみ中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    デリヘル(風俗店)のデリヘル嬢たち、店のマネージャーの表面仲よさそうで、実は内に秘めた侮蔑意識や屈託を描いた。まだ36で、初演の時28だった作・演出の山田佳奈の力量に感心した。語り手的存在のカノウ(木竜麻生)は、デリヘル嬢志望だったが初仕事で逃げ出して、そのまま雑用係として働いている。かわいくて売れっ子のマヒル(小島梨里杏)の、いつもケラケラ笑っているが、実は心に誰よりも大きな空洞を抱えている内面が次第に明らかになってくる。
    マヒルがビルの屋上で、子持ちの姉に金を貸す2度の場面から、それが明らかになっていく。少女時代に母の男から性的暴行を受けていたという設定はあるあるだが、小島の虚ろな明るさを漂わせる演技が光っていた。

    ブスの新人(信川清純)のとんちんかんな反応と、彼女の客への乱暴な対応が巻き起こす騒動が笑いをうんで、これが一番盛り上がった。ただ、この時、最後に入ってきたマヒルの錯乱はなぜだったのか。積もり積もった心の矛盾の爆発ということだろうが、あまりはっきりしなかった。

    孤高のトシマ風俗嬢の美保純、マネージャー役の後藤剛範、美人なのに可愛げのない新人の田野優花、いつも本を読んでいるけど実は風俗の仕事もするチカ演ずる川添野愛、おしゃべりし通しのくせに、接客がずさんで客からはクレームばかり、最後にはブチギレて店に火を付けそうにあんるアツコ演じた安藤聖等々、戯曲も俳優陣もしっかりキャラが立って存在感があって素晴らしかった。

    カノウが最後に失恋して泣くのだが、ボーっと見ていたせいか、彼女がその男に恋しているというのが、それまで全然わからなかった。

    ネタバレBOX

    パンフレットの初演メンバーの座談会で風俗嬢を扱うことについて男優が「職業利用じゃないか」と、当時疑問を呈していたという話が良かった。作・演出の山田佳奈もそれを意識して舞台を作ったと。そういう恥らいを持ちながらでないと、本当の風俗嬢に迫るものにならなかっただろう。

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    2021/02/19 10:15

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