満足度★★★★★
#1986年:メビウスの輪
初演のキャストのまま観られたことに感謝。
人生は言い訳に満ちている。
それを高〜いところから俯瞰して、ゆっくり眺めて、その滑稽さを楽しんでみたい。
でも、実際はその時その時を夢中で生きているからままならない。
アインシュタインの言うように「人間の想像力が、宇宙より少し大きい」とすれば、確かに人間は自分の手に余るものを欲する無謀な生き物だ。
タブーを言葉にし、世に問うた忌野清志郎のロックンロール。なんて悲しいのだろう。
人生は選択の連続である。その選択が他者から認められなくとも、自分に正直であればきっと幸せだ。もしそれが、心と裏腹の選択を迫られ言わされるとしたら……。囚われの身で、引き裂かれる心。まるで駄々っ子のように身悶える姿に絶望が映る。その苦しみは、アーサー・ミラーの名作『るつぼ』のジョン・プロクターと重なって見えた。