草の家 公演情報 燐光群「草の家」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2021/02/08 (月) 14:00

    座席1階

    物言う舞台が特徴の燐光群では異色の家族劇か。しかし、過疎化と高齢化で古里が廃れていくという日本社会の現実を、家族の会話劇を通して鋭く告発しているとも言える。
    「ここ数年はお客が来るのを見たことがない」と自嘲気味に語られる「はかり屋さん」。舞台の小道具としてさりげなく置かれている計器類は、すべて本物だという。より正確に計量する器具は、日本の高度成長を支えてきたとも言える。物言わぬ小道具と、この古い家をどうするのか、と繰り広げられる兄弟の会話。そのコントラストがなんだかシンクロして少し悲しい。
    男ばかりの兄弟たちは、地元に残る者、都会に出る者といろいろだが、実家に残された年老いた母親の元に集まってくる。だが、その兄弟たちももう若くはない。「親亡き」後をどうするか、兄弟それぞれの思いが交錯する。
    「家を売る」という話もちらりと出るが、土地価格が高く一財産になる都会と違うから、話が出ても相続争いとかにならないところがなんだかほっとする。子どものころや若いころはけんかをしたり確執があったとしても、お金さえ絡まなければ、兄弟が骨肉の争いをするということにはならないだろう、と舞台を見ながら安心したりもする。
    「小道具」に触れたが、この舞台では見えない「小道具」もよかった。それはホタルや大木だ。実際にホタルが飛ぶわけではないが、まるで本当にそこにあるかのように感じた。役者たちの力量のなせる技だろう。
    時間の流れを感じさせる最初と最後の場面。うまい台本だと思った。

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    2021/02/08 20:24

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