満足度★★★★★
鑑賞日2020/11/21 (土)
人類がその個性として 1677万種のコードで識別される "色" を生まれ持ち… 色相における反対色を持つ者同士は… 触れ合うだけで物理的な危険が及んでしまう分断社会。
星新一を彷彿とさせる… 日常にSFを滑り込ませた様な設定にまず引き込まれる。そして、それに対する人と社会の在り様が…しっかりと「現実」を暗喩し…シニカルな風味になっていることもまた然り。上質なショートショートの佇まいでした。
親から子へと繋がっていく物語構成も… 人の想いと時の流れの重奏な響きを作り出していて、メッセージに深みを添えていましたね。
色というモチーフを反映した… シンプルだけど印象的な衣装に… それを味付けする様々な効果。映像を照明の様に投影し… 光・水・波紋といったイメージで彩る演出も眺めていて心地よかった。
そして本作の象徴とも言える「赤い海に青い夕陽」の絵画… それそのものは舞台上には現れませんが、その絵画を前にして驚きに包まれるソラとアサヒ… その2人の少女のえも言われぬ表情は… 本当に見事にその感動を表していて素敵でした…とても好きなシーン。
彼女たちが眺めているその絵画の素晴らしさを… 見事にその表情に写し取っていて、観る者にそのまま伝えてくれていた感じでした。