満足度★★★★
鑑賞日2020/03/01 (日)
劇団代表格の約20年前の作品と…そこに奇縁で繋がり同じ場所を舞台とする新作を結び付ける構成。この2作は劇団員の新旧を繋ぐものでもあるらしい。
会話自体はいずれもたわいない身内の諍いなれど、ともに戦地との繋がりを窺わせながらの諍いの本質と背景に…この大局に人々を誘った日本人の悪癖を想起させる。人が集まって個を失うと… 冷徹な人ならざるモノに変質する怖ろしさを滑稽味の向こう側に感じさせる不穏さ、それに目を逸らすかの様な楽観さのギャップが痛々しい。
一瞬の希望を感じた先に突き付けられる現実。2つのドラマが繋がって… 歴史が繰り返されたことを暗喩するシニカルさが突きつけられる。個を尊重する慎ましさを忘れ、安易に二極に切り分けて他を攻撃する… 今この世相の先にあるものを浮かび上がらせる。20年前の眼差しは今もって杞憂でないことを感じさせる…意義ある公演でした。
終演挨拶で作演の土田さんが不意に涙ぐまれたのがとても印象的で…この新型コロナウィルス騒ぎの状況下で、中ホール規模の公演を全うするプレッシャーと… 万全を期そうとする御苦労の大きさを感じずにはいられません。四日市市文化会館スタッフも含めて、その完遂に厚く感謝申し上げます。