蒲実里 卒業できる公演 公演情報 名城大学劇団「獅子」「蒲実里 卒業できる公演」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2020/02/29 (土)

    12月の… 前代未聞「卒業できない公演」の向こうを張って、「私は卒業できるぞ~」と蒲実里(カバミノリ)嬢が息巻く晴れ舞台。大変な状況下ではありましたが観れて良かった。何気に「獅子」も卒公2度開催の偉業を成し遂げた(笑)

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    ネタバレBOX

    ■■■「かわいい馬鹿ほどみんな呪い殺すリターンズ」■■■

    獅子メンの間でなら本当にありそうな登場人物の奇行の数々。その日常(?)を眺めてクスクス笑うだけでも一興だが、その中に潜んでいるさり気ない違和感のピースにオノウチハルカ戯曲らしさがある。

    あれ?ここで終わりか~い… と心の内で…ツッコミを入れた第1部が〆となり、次の「たとえば君も〜」が始まってしまう。しかし、更にその先で「かわいい馬鹿の〜」の裏の顔が姿を現し、とても意表を突かれた。第2部の「たとえば君も〜」も終えた後の公演全体のエピローグ的な位置付けとして流れてくるシーンのことだ。第1部の「かわいい馬鹿の〜」で仄めかされていた世界線… 違和感の意味が より鮮明に映し出される。その一部は第1部のシーンのリフレインでもあり、同じ振る舞いに別のことを想起されられる新鮮さ。唐突だった「死なないで」の意味が腑に落ちる。

    買った台本を読むと、この部分は「かわいい馬鹿の〜」の"リターンズ"抜きのタイトルとなっており、第1部がリメイクで…最後のシーンが初演版だったのかもしれない。でも今回の構成はすごくハマった。間に丸々1本入れているのが絶妙だ… 不意に涙腺が緩む瞬間。電子の海はそのまま人が生きていた証にもなっていた。

    ところで「かわいい馬鹿ほどみんな呪い殺す」という謎のタイトル。これにも色々と想像させられてしまうが、…もはや老いることのない「かの愛おしい彼女」を巡る周りの人たちの切ない振る舞いを「呪われている」状態に準えているのかなぁ… などと妄想しました。


    ■■■「たとえば君もわたしのこと好きならば」■■■

    こちらは2年前の尾内橋本研究室… 通称オノハシ研公演の再演になりますが、メンヘラビッチに哲学的な理屈っぽさを纏わせた奇怪な展開は、むしろ「かわいい馬鹿の〜」よりもオノウチハルカ作品らしさがある。

    基本的な解釈面では当時の上演と変わるところはありませんが…最終的に至る… カウンセラー斎藤が社会に出る過程で失ったモノの尊さを踏まえて話を眺めると、一見して奇行に映る女性たちの振る舞いの向こうに、人生における「大事なこと」が見えてくる気がします。あるべきミライだけでなく…メンヘラビッチの諸々の中にすら、暗喩として置き換えられる何かを想像したくなる(笑)

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    2021/01/05 21:51

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