『ツアー』+『タワー』 公演情報 ままごと「『ツアー』+『タワー』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    鑑賞日2020/01/25 (土)

    (2作別にネタバレBOXに書きました。)

    ネタバレBOX

    「ツアー」

    ツアー×タワー実質2本立てのうち、この「ツアー」は ままごとの今までの制作手法(標準的な演出家主導)での集大成(?)的作品だそうな。

    愛息喪失による失意の中で… 日常とは少し離れた異文化コミュニケーションから生まれていく…彼女の踏み出す 次の一歩までの物語。

    名詞と動詞だけで構成する独特のカタコト言語表現は、冒頭のドライブを不思議にポップに彩ったり、拙い外国語会話を如実に再現してみせたりと、意外にオシャレとコミカルさを兼ね備える汎用性があって興味深い。

    ナビ本体の擬人化表現や、その機能のアナログ的描写もほっこりしていて好ましい癒し空間が拡がっていく。そこからの展開… ちょっとした冒険譚が彼女の心をほぐしていく感覚にとても心温まる感触でした。ところが実は…終盤の旅人に対する「お前はダメだ」というミュージシャンの拒絶のセリフにモヤモヤする感覚が湧いて… なぜ盛り上がりの最中にざわざわそんな描写が要るのだろうと… 観た直後は後味が悪かった。

    んで、暫く感想を呟けなかったんだけど、意図を汲もうと思索を巡らした。で、やはり旅人がナビの化身的な位置づけになっていることに繋がるのだろう…という結論に辿り着いた。彼女はいつまでもナビゲーターに手を取って貰っていてはいけないのだろう。彼女が再び自力で歩きだすことの暗喩かな…と。それにしても このナビ優秀すぎ。心療診断機能まであるんか笑。

    「タワー」

    もう一方の「タワー」は演出家一個人の資質に囚われぬ… ままごとという「集団」から生み出されるモノを模索する新たな制作手法に取り組む実験作らしい。

    その意向は何となく理解できる。しかし今回そこから生まれたモノには色々と疑問を呈さずにはいられない。

    難解というよりは… まだまだチグハグな印象でした。

    堆く積まれた高層の構造物。地上で蠢く者どもの不思議な挙動… 上と下とで生きる者たちの隔絶と奇妙なコミュニケーション。何となく物質文明の果てのディストピアを想像させ、前半の雰囲気はバツグンでしたが… 全体としては… フライヤー記載のあらすじのイメージは汲めてないです。

    しかし一転、中盤のパフォーマンスやインプロ的なシーンは… 冒頭からのイメージを膨らますには些か余興的でバラエティ番組でも観ている様な場違い感が湧いた。 勿論そういうモノの面白味というものはあるのだけど、 何と言うか…「今じゃない」って感じでした。

    何だろう… 屋外パフォーマンスや演劇フェスの一角で… 観客とのコミュニケーションを楽しむタイプとしてなら呑み込める中盤だったけど、前半からの"思索を阻む異物"としての存在感が私には強かったです。色々考えてはみたのだけど、この中盤あってこその「何か」を見出せなかった。現代アート好きの性分としては無念だけど。

    まだ実験作やし、このタイプは…回を重ねて作り手の表現も変わり、観る側も観方を心得てくると解釈も変わってくるかなと今後に期待。エポックメイキングも磨き上げられる時間が要るのだと信じて。

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    2021/01/05 20:02

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