満足度★★★★
交互に進行する二つの原作・二人の脚本家・二つの愛の話。
ダンダンブエノの近藤芳正さんがまた新しいことを始めました。
新たな劇団バンダラコンチャ第一回公演です。
なんと二つの原作を二人の作家に依頼、
一人の演出家で一本の芝居に構成するという面白い試み。
ひとつは、横光利一「春は馬車に乗って」を
ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕の本で。
戦前、病床の妻と作家の口論と愛の日々。
夫に対してわがままを言ったり、文句を言ったり
喧嘩をしながらも愛情を感じさせる、
妻を演じる坂井真紀さんの演技が光ってます。
もう一つは重松清「四十回のまばたき」より、
イキウメの前川知大さんの本。
こちらは現代、翻訳家の男と、まるで冬眠のような病気を持つ、
亡くなった妻の妹の「出産」をめぐる騒動。
こちらは姉妹二役を演じる辺見えみりさんの
奔放さがいとおしい。
そして、榎木孝明さんのこれまでのイメージと異なる
豪放で味のある作家も面白い。
ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕も、
イキウメの前川知大さんも、
最近必ず観ている好きな作家さんです。
両方の物語の「夫」である近藤芳正さんは、
神経質な、繊細な、優しい夫を演じています。
やりたい芝居を自らプロデュースしている
近藤さんのスタンスを応援したくなります。