満足度★★★★
鑑賞日2020/12/24 (木) 13:30
座席1階
劇団民藝が井上ひさし作品に取り組んだ。こまつ座とのタッグだ。
誰もが知る初代水谷八重子をめぐる舞台なのだが、八重子が登場するわけではない。物語は、全員が熱烈な八重子ファンという医院を舞台に進行する。
民藝の舞台には珍しいドタバタ喜劇という側面もある。マスク着用だから、劇団側としてはこういう閉塞的なご時世だからなおのこと、思い切り笑ってほしかったという意図も感じる。杖をついたご高齢者も目立つ客層で、なかなかゲラゲラ笑うという状況は見られなかった。だが、陸軍への入営に寝坊して間に合わずに逃げて兵役拒否になったような若者をかくまったりする昭和のバラエティー番組のようなエピソードや、注射器で水を噴き上げて遊ぶなど「八時だよ!全員集合」みたいなギャグも登場する。
舞台は10分間の休憩をそれぞれ挟んで3幕。戦中戦後の時代に沿ってまとまっている。第三幕は戦後で、ようやく訪れた平和にがらりと舞台の空気感が変わるが、基本的には全編喜劇である。79歳の日色ともゑはこの舞台でも元気な姿。いつもながら勇気づけられる。