No.9 ー不滅の旋律ー 公演情報 TBS/キョードー東京「No.9 ー不滅の旋律ー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    何が良かったといって、ベートーヴェンのピアノ曲と交響曲の触りを、ベートーヴェンの人生とともにたっぷり堪能できたのが良かった。稲垣吾郎はわがままで起こりっぽいベートーベンを、抑え気味にクールに演じていた。そのクールさはナテッネ(村川絵梨)とマリア(剛力彩芽)の姉妹に求愛するところで強く感じた。意外とそっけないのです。女性に対する不器用さを表現していると思った。女優二人が、華やかさと芯の強さを兼ね備えた演技で素晴らしかった。稲垣吾郎のベートーヴェンとのトライアングルがこの舞台の肝であった。

    ベートーヴェンの父親に対する恨み・トラウマが、回想シーンや、現在の幻影として度々出てきて、楽聖の人物に深みを与えていた。また、ウィーンの警官のフリッツ(深水元基)が、ずぼらな遊人から、強権的な秘密警察へと豹変することで、自由が狭められていく時代の動き、革命の理想の幻滅を示していた。

    休憩20分込み3時間10分(70分ー20分ー100分)。市松模様の排斥で、間隔をあけていた。既に満席にしている劇場も(新国立や東急、東宝系など)多くなっている中、慎重な劇場の姿勢だった。

    ネタバレBOX

    舞台の美術で、梁の一部付いた柱が、奥に向かって左右に並んでいる。それが上からの何本ものワイヤーにつながっているのだが、あのワイヤーはなんだろうか。舞台の大も四隅に上からのワイヤーがある。ほかの壁などの装置は、上から釣り下ろしたり、引き上げたししたが、あの柱は動かなかったと思うし、大に至っては絶対動かない。それでもあるワイヤー。多分、天上への、至高の世界へのベートーヴェンの意識を示したのだろう。

    最後の「歓喜の歌」は、一緒に行った友人は「鳥肌が立った」と言っていた。しかし、私はスピーカーからのオケと合唱の大音量が録音ぽくて、生の舞台の雰囲気とのズレを感じた。すごいのだけれど、すごすぎるという感じ。第一部の幕切れの「歓喜の歌」の合唱の方が、生っぽくて、素直に気持ちが乗れた。大音量で聴かせるよりも、舞台の生の声を大事にしたほうがよいのではないだろうか。

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    2020/12/24 00:05

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