PANCETTA special performance “un” 公演情報 PANCETTA「PANCETTA special performance “un”」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    タイトルは「ウン」と読む。ウン◯の「ウン」。舞台は石組の神殿のようで、奥の石段の上に個室らしき箱がある。ここは大きな建物の最上部、舞台床の穴から、一人、二人と人が登ってくる。若い男、若い姉妹、太った女性…揃うと6人。皆白い上下のつなぎ服を着て、生活感や属性を感じない。何しにきたのか。

    互いに警戒し合っているが、次第に状況が見えてくる。あの最上段の箱はトイレで、トイレ目指してきたらしい。でもなんか様子が違う。太った女の持ってきたナンを見て、皆が食べたいけど、この世界ではてべてはいけないと牽制し合う。そう、ここは食事も排泄も無くなった未来社会。食べると禁忌に触れて処罰される。それでも皆、誘惑に負けて食べてしまうが、使っていない胃腸は激しい腹痛を起こす。それでも排泄に挑む男は、最後に何を見るのか。ちょっと奇妙な設定だが、切なくも滑稽な90分だった。

    舞台パフォーマンスとして、3回くらい、バックの音楽に合わせて、無言ダンスする。特徴の一つ。また、中盤、チリチリヘアーの男が他を整列させて、「お前ら、食べたいんだろう? いいと思ってるのか!」と責めながら仕切る。しかし男も実は食べたい。皮肉とメリハリのつくところである。

    ネタバレBOX

    女のナンを食べて排泄の刺激が起きるわけで、ここにきただけでは、その前に何も食べてないので排泄できない。それなのに、皆、(太った女以外)何しにトイレに来たのか。ちょっと辻褄が合わない。

    大柄な中年男は医者らしかったが、最後に無線で当局に連絡を取り、スパイだった。
    トイレの中のウン◯も実はこの男がやったらしい。ウン◯を見て、みんなのけぞり、「あんな姿にあなたになってほしくない(!)」と、姉は好意を抱いた若い男に排泄を思いとどまらせる。
    結局、排泄をやめた方がよかったというけつろんで、食べてウン◯する人間の営みを愛おしむのでなく、疎んじる。醜い自然より、人工の清潔さの不自然に後退する。足を半歩踏み出したところで、その「誤り」に気づき、規律に服従に戻った。以前より自発的に。それなのに、ふもとに降りれば、禁忌を侵したと逮捕されそう。二重の意味でアイロニックな結末である。

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    2020/11/19 21:34

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