プレッシャー 公演情報 加藤健一事務所「プレッシャー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ノルマンディー上陸作戦は当初6月5日の予定だったが、暴風雨で6日に延期された。その裏にあった気象学者の予報の努力を描いた。スタッグ博士を演じる加藤健一は正義感と頑固さ、期待と反する結果でも、正直に言わなかればならない苦衷を示して説得力があった。

    アイゼンハワーを演じた原康義さんが、わたしはひさしびぶりに見て、感慨深かった。地人会の藪原検校で見たのが、30年前。あの体当たりの演技は今も思い浮かぶすごいものだった。あの若い悪党の悲しみを演じた熱血俳優が、老練の連合軍司令官を演じるのを見るとは。歳をとるのもいいことだという気がする。

    作戦に向かう兵士たちの犠牲と自分の任務を思って語る台詞は、ただただ拡張高い。感傷でも自己弁護でもない。それまではちょっと軽い人物と見えていたのが、一気に歴史的人物に見えた。
    日本軍の将校にこうした哲学のもちぬしをもたないこと。いたとしても知られないこと。知ったとしても侵略戦争と敗戦のゆえに、素直には聞かれないだろうことの不幸を考えた。
    その日の自然現象が戦いの帰趨に影響した芝居として、「子午線の祀り」のことを連想した。彼我の共通点はどこにあるか。アイゼンハワーの「神を信じなければ、軍の指揮などできない」という言葉に、全く逆の敗軍の側からだが、敗北を予想しつつ戦い抜いた知盛と重なる。

    2時間45分(休憩15分含む)

    ネタバレBOX

    後半の、予報を巡る全く対立した意見の対立、延期の決断、しかし天候が持ち直しそうな予兆の発見、さらに1日後の決行の決断、結構の深夜の、アイゼンハワー司令官の兵士たちに犠牲に想いを馳せる葛藤はじかんをかんじさせない、迫真のひとときだった。

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    2020/11/11 23:06

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