満足度★★★
鑑賞日2020/11/06 (金) 15:00
コロナ禍以降、古典劇を観たいと思い続けてきた。コロナ禍の現状を反映した新作や、福島禍と結びつけるような作品、うんざりだ。もう十分に疲れた、まだ疲れさせるつもりかと。
モームの作品、十分だ。「手紙」、イプセンほど堂には入っていないが、人間の愚かさを諦観するよい作品だと思う。
人の愚かさを描こうとするときに、共感や同情は無用だ。どうしても、情緒に流れてしまいがちになるし、悲観や哀感は下げすみを伴う。ただただ、冷徹であること。
主人公レズリーの行動に、弁解の余地はないだろう。パンフレットにて原田一樹氏が、恋愛の幻想性に触れている。が、それを説いたうえでも、その幻想性は、理性に対する感情の詐
術でしかなく、その詐術に意識無意識にかかわりなく乗っかってしまうことに、人間の愚かさを観ることになる。