音楽劇「銀河鉄道の夜2020」 公演情報 KAAT神奈川芸術劇場「音楽劇「銀河鉄道の夜2020」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    広大なステージに迫力のある大掛かりなセットと生演奏。船の舵と錨と時計の振り子を合わせたような象徴的なオブジェが荘厳。汽車は客船を思わせる作り。宮沢賢治的役回りの岡田義徳氏と歌唱担当のさねよしいさ子さん(精霊アメユキ)が苦しみ足掻く少年ジョバンニの姿を見守り続ける。
    さねよしいさ子さんの歌は、矢野顕子調で歌詞こそ聴き取れないが曲と歌唱は絶品。聴いているだけで作品世界に溶け込んでいく気分。
    前半の貧しい苦学生が出稼ぎの父の逮捕の噂で学校で虐められ、家には病気の母と、現実に追い詰められていく様が見事。
    そこからの後半、銀河鉄道の旅の中で『本当の幸い』に人生を捧げていく過程が時間の都合もあって唐突、なかなか理解しづらいのでは。
    カムパネルラが降りる、石炭袋と呼ばれるブラックホールの演出が秀逸。スモークと照明の美。
    二階の一番後ろだったが、観易くて満足。

    ネタバレBOX

    矢張、タイタニック=サソリ=カムパネルラの自己犠牲の物語に。
    謎の多い『銀河鉄道』の正体。個人的に一番合点がいったのが、そねはじめ氏(日本共産党都議会議員!)の論評。『これまでそれは、死者たちの魂を乗せて天井へ向かう死後の世界だという視点からの論評が圧倒的だった。(中略)銀河鉄道は、死者のみのためにではなく、人間一人一人にとっての真理や理想を求めていく人々の精神の旅路としてとらえ直すべきなのではないだろうか。』
    鳥捕りのエピソードなど、そう考えでもしないと理解不能。何か統一した解釈で作品を再構築して欲しかった。

    0

    2020/10/04 16:40

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大