スーパー・ウーマン・リヴ 公演情報 藤原たまえプロデュース「スーパー・ウーマン・リヴ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    人が持つ本音と建前という二面性、信頼と裏切という行動の背反性をコミカルに、シーンによってはシュールに描いた笑劇(衝撃)作。同時に人の悩みや弱みにつけこんだ、ある行為を想起させる。
    舞台は、スーパーのバックヤードというありふれた場所。その設定が庶民性と日常性を表し、親近感をもたせる。コロナ禍にあっては、その日常がいかに大切かを知ることになる。
    上演時間1時間40分

    ネタバレBOX

    ある行為とは、占い師による”洗脳”まがいのこと。笑いだけではなく、時に鋭く内面をえぐる作風。何となく小説「人生に七味あり」を思い出す。恨み、辛み、妬み、嫉み、嫌み、ひがみ、やっかみ、という七味唐辛子ではないがピリッとした刺激を観せる。ひきつった笑い顔の奥底には、暗澹たる思いが渦巻く。日常の生活に隠された人間性を上手く炙り出す演出は巧みだ。その人間性は、スーパーで働く仲間によって個性豊かに引き出される。現実に居そうな人物像を立ち上げ、何となく観客に寄り添わせる。
    それを突拍子もないレジ打ち競争という手段(媒介)を絡ませ、コメディタッチに描く。脚本の深みと笑劇として魅せる表面的な、その絶妙なバランス感覚がよかった。

    コロナによって多くの公演が延期または中止になり残念に思うが、一方で自分の生活の中で演劇の存在(面白さ)、そこに集まる人との繋がりがいかに大切だったかを改めて知ることができた。本公演は人を信じ、時に人を頼ることも必要であることを描きハッピーエンドになるが、そこにも人の繋がりが出てくる。何となく今の状況がモチーフになったように思える。

    少し物足りなく感じたのは、主人公がトラウマになった出来事がワンシーンしかなく、占い師との関わりは出会いを別にすれば電話等だけ(表面的には)。できれば人間観察としての心理や洞察シーンがもう少し描かれると鬱屈した過程が掘り下げられ、ラストの再生シーンが印象強くなったのでは…。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2020/08/06 18:15

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