満足度★★★
28日の午後、東京・池袋のシアターグリーンで上演された、アフリカ座第17回公演『あさぎもん』を観てきた。
これは、知人の役者・若林美保が出演していた関係による。
タイトルの『あさぎもん』とは新撰組のことで、なぜそう呼ばれているのかが冒頭に遊女達の会話から明らかにされ、当初の新撰組局長・芹沢鴨とその女・青梅の新撰組内部での暗殺劇でスタートするこの舞台。
新撰組と言えば、その芹沢暗殺、近藤・土方の関係、薄命な沖田、総長山南の切腹と舞台としては見せ場は多く、そのほとんどをこの作品は網羅している。そして、その進行に芹沢と梅の亡霊が影を落としている。
実はこの感想を書く前に、SNSに次のような書き込みをした。
小劇場系演劇を大別すると、大衆演劇・新劇・アングラ劇の3つの方向に分類できると思う。なぜ今このようなことを書くかというと、先日観たアフリカ座の舞台を観て考えさせられる点が多かったからだ。
そう、このアフリカ座が魅せた新撰組の物語は、限りなく大衆演劇に近い新劇なのであった。
登場人物の化粧、甘い殺陣、それにどこぞの大衆演劇劇団の座長が演じているような近藤と、調所に娯楽として捉えることの出来る大衆演劇の香りを漂わせながらそれで終わらなかったのは、芹沢とお梅の亡霊の存在。そしてその二人に翻弄される隊士達の心の葛藤が描かれていたからである。
しかし、その心の葛藤を的を絞って深く掘り下げていてくれたら、この舞台はより劇的になっていたはずである。それが残念であった。