アントン、猫、クリ♥KR-14【篠田千明】 公演情報 キレなかった14才♥りたーんず「アントン、猫、クリ♥KR-14【篠田千明】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    街は音に溢れているから、それで楽しもう
    インダストリアルとかノイズとか呼ばれる音楽を聴くようになったとき、街には音楽が溢れているように感じた。
    特に工事現場の横を通るときには、杭打ち機は、素晴らしいメタルパーカッションとなった。
    雑踏に溢れるあらゆる音は、一体になったり、ソロを奏でるよう突出して聞こえたりするのだ。

    この舞台では、開幕から強迫観念のように吐き出される言葉(台詞)がある。
    最初は、その言葉の意味を追っていたのだが、どうやら「それだけ」ではなく、音を楽しめばいいのだ、と感じたときにこの舞台の印象はがらりと変わった。
    それは、後半において、そうだったのだと確信をした。

    ノイズミュージックの感覚だが、これはさらに役者がいて実際に動き、演技をしている。
    つまり、音と場面を楽しむということ。
    さらにこれにはストーリーまであるのだ。

    ラストにかけては、ちょっとした(ほんのちょっとしたものだけど)カタルシスさえ感じた。

    ネタバレBOX

    音楽の世界では、. ジョンケージとかスティーブライヒなどが始めた(たぶん)テープコラージュのような作品がある。ラジオを楽器に見立てて、演奏するというものもある。

    映像や音をカットアップして、見せることは、普通に行われており、それに対して今や違和感はない。
    (映像と音をコラージュして、さらに音楽に引き込んだものとしては、ドラびでおのライブがあり、舞台を見ながら、それを思い出していたりした)

    演劇でこれをやることは、どうなのだろうか、という答えがここにあった。

    映像や音(フィルムやテープ)などを物理的にカットしてつなぐということは、AからBへそしてまたAへと直接つなぐことができるのだが、生で演じている舞台ではそうはいかない、AからBにつなぐ際には、A点からB点につなぐまでの動きがどうしても出てしまう。当たり前だが、それをカットではない。
    ところが、これが面白い。
    その「余分なモノ(間)」にもう1人の役者の動きを重ねたりずらしてり、さらに、左右前後の動きも加えることで、立体感や別の効果が生じてくる。

    繰り返しや前後の入れ替え、役者間のバランス&アンバランスが後半にかけて疾走する感覚がいい。
    しかも、その隙間から、確実にストーリーが見え、駆け足で迫ってくる感じがとてもいい。

    ありそうでなかった、そんな新しい舞台に出会えたと思った。

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    2009/05/04 04:33

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